写真:イボハダハナヤサイサンゴのプラヌラ幼生
沖縄の珊瑚の産卵は初夏(5月~6月)の大潮、もしくは大潮の前後の夜に始まります。沖縄の珊瑚の産卵は一般的にミドリイシ(ミドリイシ属に属する珊瑚の総称)が多いです。ミドリイシは平らに広がった基盤の上に多数の短い枝が林立するテーブル状、あるいは分岐した長い枝が集まって複雑な樹枝状になります。その他にもキクメイシ、明るい時間帯に見れるハナヤサイサンゴの産卵が観察できます。
2017年は6月の2週目の大潮を中心にミドリイシ、キクメイシ、ハナヤサイサンゴの産卵を確認することができました。6月は9日が満月です。ちょうど満月の6月9日から珊瑚の産卵が始まり、10日、11日に大放出がありました。水温の上昇も関係性があり、6月に入って水温の上昇がはじまり、今回の水温は26度前後でした。次回の6月24日前後の大潮も可能性はありますが新月になります。
動画:イボハダハナヤサイサンゴのプラヌラ幼生
ハナヤサイサンゴは6月10日は午前10時前後、11日は午前10時20分前後に恩納村の万座方面、北部の水納島で産卵が始りました。写真はイボハダハナヤサイサンゴという種で11日の沖縄北部の水納島の浅瀬にて撮影しています。イボハダハナヤサイサンゴは正しくはポリプの中で受精を終えます。産卵ではなく、プラヌラ幼生(幼生保育型)と呼ばれ、出産になります。
6月11日は午前10時ごろにひとつのイボハダハナヤサイサンゴから白い煙が上がっているような現象を肉眼で確認しました。周りを見渡すと次々と数えきれないほどのサンゴから白い煙が上がってきました。
写真:ミドリイシの産卵(バンドルの放出) アップ
ミドリイシとキクメイシは6月10日の午後21時45分から大放出が始りました。写真のミドリイシは11日の22時10分ごろからの産卵の写真です。キクメイシの産卵の写真はマネージャーやすが撮影していたので後日アップできると思います。
写真:ミドリイシの産卵(バンドルの放出) 全体
ミドリイシとキクメイシも一般的に産卵と言われていますが、卵ではなく複数の卵と精子の詰まった赤い玉の形をしたカプセル(バンドル)を放出しています。バンドルの大きさは1ミリ~2ミリ程度になります。珊瑚には雌と雄はなく、みんなこのバンドルを放出します。このバンドルは水面へと浮いていき、そこではじけて受精します。11日の珊瑚の産卵後、ダイビングのエキジットの際にも水面に浮遊物がたくさん浮いているのを確認できました。
動画:ミドリイシの産卵(バンドルの放出)
珊瑚の産卵のタイミングは季節、潮、月、水温などさまざまなことが関係してきます。2018年の珊瑚の産卵を観察するため、2017年のデータを以下にまとめます。
2017年 6月9日 満月 大潮 満潮 6時01分・19時16分 干潮 0時16分・12時46分 水温26度
2017年 6月10日 大潮 満潮 6時33分・19時50分 干潮 0時50分・13時17分 水温26度 ハナヤサイサンゴ 10時00分 ミドリイシ、キクメイシ 21時45分
2017年 6月11日 大潮 満潮 7時05分・20時24分 干潮 0時16分・13時49分 水温26度 ハナヤサイサンゴ 10時20分 ミドリイシ、キクメイシ 22時10分