テクニカルダイバーが良く使う用語でグラディエントファクター(Gradient Factors)と呼ばれる用語があります。
グラディエントファクターは英語の頭文字と取ってGFと略される場合もあります。
1990年代に熱心なトライミックスダイバーで洞窟ダイバーのエリック・ベイカーがビュールマンのM値計算にグラディエントファクター(勾配係数)を適用するという考え方を作りました。
ビュールマンは呼吸循環系の病態生理学を専門とする医学博士でした。ビュールマンは高所潜水による一連のダイバーのベンズ罹患事例から高所による大気圧の低下を補うように調整されたM値が必要であることに気が付きました。1972年にスイス軍で採用された高所潜水用テーブルを開発し、その後「ZHL-16」や「ZHL-8ADT」のアルゴリズムを発表しています。
グラディエントファクター(勾配係数)は減圧計算における保守性(より安全に潜ること)に対する一貫したアプローチを提供します。それを使用することによって、減圧ゾーンの範囲内でディープストップを行って過剰圧力勾配をコントロールし、減圧プロファイル全体にわたるM値から一定の安全マージンを確保することができます。グラディエントファクターはM値勾配の小数、またはパーセンテージです。(ベイカー談)
- グラディエントファクターは、M値勾配の小数(またはパーセンテージ)です。
- グラディエントファクター(GF)は、0%から100%の間が範囲です。
- グラディントファクター0%は、周囲圧線を表します。
- グラディントファクター100%は、M値線を表します。
- グラディエントファクターでは、減圧範囲内でより安全性を重視するため、元のM値計算式に変更を加えています。
- 最初の停止深度は、グラディエントファクターの低い方の値(GF Lo)を基に決定されます。
グラディエントファクター(勾配係数)は、ダイバーの血液などの速い組織に対して、骨などの遅い組織が追い付かないことを補うために2つの係数を組み合わせて使用するように設計されました。
吸排出の速いコンパーメント(血液)は、最初の浮上地点では減圧水深を決めるコンパーメントになります。
吸排出の遅いコンパーメント(骨など)は、後半の浮上地点では浅い水深に影響するコンパーメントになります。
1つ目の数値はGF(Lo)と呼ばれ深い水深での減圧をコントロールするために使用します。
2つ目の数値はGF(HI)と呼ばれ、浅い水深での減圧をコントロールするために使用します。
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テクニカルダイビングを行う場合は地域やチームと数値をあわせて潜るのがおすすめです。一般的に30/85が多く、私は40/80にしています。チームやバディがシェアウォーター(SHEARWATER)であれば、お互いのグラディエントファクター(GF)を合わせて潜ることができます。
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ダイビング前にお互いのグラディエントファクター(Gradient Factors)を合わせておけば、チーム浮上の際にランタイムが同じタイミングになり、深度を合わせやすくなります。