サイドマウントは従来のバックマウントのスタイルとは違い、体の側面に1本もしくはそれ以上のシリンダーを取り付け、それぞれのシリンダーにファーストステージとセカンドステージ、残圧計を取り付けるスタイルになります。特殊な大深度潜水やケーブダイビングなどテクニカルダイビングで利用されてきました。
近年、サイドマウントは海外を中心に普及がはじまり、ケーブダイビングやテクニカルダイビングだけのスタイルではなく、レクリエーション・ダイビングの新しい楽しみ方のひとつとして注目を浴びるようになりました。
以前の記事では、レクリエーション編としてサイドマウントの器材の準備の仕方や配置など、ダイビングのエントリーやエキジット、水中の泳ぎ方などをアップしました。
今回はテクニカルダイビング編として、サイドマウントの目的(サイドマウント VS バックマウント)、メリット、デメリット、ダイビングライセンス取得についてをアップします。
サイドマウント VS バックマウント
撮影者 : yuito
テクニカルダイビングではダブルタンクや複数のボトムガスを使用する際に、従来の背中にシリンダーを背負う「バックマウント」のスタイルと、体の側面にシリンダーを取り付ける「サイドマウント」のスタイルがあります。ダイビングの目的に合わせて、どちらのスタイルを選ぶのか決めていきます。
大深度潜水では、背中のスペースを有効に使えるバックマウントが適しています。例えば、100M級のダイビングとなるとシリンダーの数が5本、6本など必要になってきます。バックマウントでは背中に2本のダブルタンク、体の側面にも複数のシリンダーを取り付けることができます。
サイドマウントで大深度潜水を行うと、体の側面や下半身のDリングにすべてのシリンダーを取り付けなければいけません。技術的にも難しくなります。
バックマウントは背中にシリンダーを背負うことができるので、移動しやすく、安定した状態でエントリーできます。
水中洞窟や沈没船の内部侵入は、サイドマウントが適しています。サイドマウントは体の側面にシリンダーを取り付けるため、狭い入り口でも進むことができます。バックマウントの場合はシリンダーのバルブやレギュレーターのファーストステージが当たってしまう可能性があります。
サイドマウントは一般的なレクリエーション・ダイビングでも人気が上がり、注目されています。テクニカルダイビングでは、しっかりと目的に合わせて自分のスタイルを決めていきましょう。
サイドマウントのメリット
撮影者 : yuito
サイドマウントのメリットは独立した呼吸源を2つ用いているため、片方のシリンダーのガスがなくなってしまったり、レギュレーターにトラブルが起こっても対処が可能なことです。又、体の両脇近くにシリンダーのバルブがあるため、セカンドステージのフリーフローの際にバルブの開閉操作が可能です。レギュレーターのリークにも気がつきやすいです。
そして、最大のメリットは体の側面にシリンダーを取り付けるため、狭い場所でもダイビングが可能になります。水中洞窟や沈没船の内部侵入に適しています。又、流線形で水の抵抗も少ないため、効率よく泳ぐことができます。
サイドマウントのデメリット
サイドマウントはメリットも多いですが、デメリットも重要です。
サイドマウントのコンフィグレーションはホースの取り回しや、シリンダーの取り付けが複雑になります。両方のシリンダー内のガスのボリュームに大きな差が出ないように定期的に呼吸するセカンドステージを変更する必要があります。
又、幅の狭い場所は、進みにくい場合があります。
そして、サイドマウントを使用する際に必ず考えてほしいのはラチェットあるいはAフレーム効果です。
サイドマウントは狭いところに入れるため、どんどん奥まで進み、後退するときにシリンダーの底が周りの障害物にぶつかってしまい後退ができない状態です。
洞窟の中や沈没船の内部侵入をしている際、方向転換できない可能性があります。狭いところに入る前に、後ろにバックするバックワーズキックも練習しましょう。
バックワーズキックはバックワーズキック・テクニカルダイビングもご覧ください。
TDIサイドマウントダイバー(Cカード取得)
サイドマウント器材 : apeks・エイペックスの正規販売代理店(ディーラー)
サイドマウントに興味のある方におすすめのライセンスコースです。本格的なテクニカルダイビングを考えている方向け。3日間で学科とプールと海洋実習3ダイブのご案内になります。ご旅行の場合は4泊5日からご参加可能です。 参加条件 オープンウォーター(他団体OK) 40ダイブ 18才以上 |
- コース費の他にTDI教材セット、申請料 ¥12000(税別)の別途料金がかかります。
- ご希望の方にはプール講習¥1000(税別)、ボート講習¥7500(税別)のリクエストも可能です。
TDIサイトマウントダイバーのコース内容
- サイドマウント用シリンダーへの必要付属品のセットアップと確認
- サイドマウント用シリンダーへのレギュレーターセットの取り付けと作動確認
- サイドマウント用BCの体へのフィットと各付属品
- エントリー前チェック
- エントリー方法
- シリンダー装着
- 2ndステージの取り扱い
- 水面での器材確認
- BCD操作と浮力コントロール
- トリムコントロール
- 2ndステージチェンジ
- バルブシャットダウンドリル
- フリーフロー対策
- フィンテクニック
- シグナルの確認
- Sドリル(サイドマウントスタイル)
- マスク喪失への対応
- ポーチ内器材の取り出しと再度の収納
- シリンダーの取り外しと取り付け
- シリンダーマウントトラブルへの対応
- BCDパワーインフレーションフェイルへの対応
- ブラダーフェイルへの対応
- リフトバックの放出シミュレーション
当スクールのご利用が初めての場合は面談もしくはチェックダイブが必要になります。又、上記スキルが身につかない場合は認定できない場合があります。追加講習は1日15000円(税別)が発生します。
TDIサイドマウントコース・ライセンスコースの詳細はこちらから