2016年の夏(6月~8月)、気象庁の発表では沖縄で観測を開始した1946年以降で平均気温が過去最高を更新したと発表がありました。1991年、1998年の記録も更新。沖縄周辺の平均海面水温も、沖縄本島を含む東シナ海南部では28.8度、先島諸島を含む沖縄の南の海域では30.1度、それぞれで、気象衛星での観測を開始した1982年以降で最高と発表されています。
地球温暖化の問題やエルニーニョ現象の影響に加え、インドネシアやフィリピン周辺で積乱雲が多く発生した影響で、沖縄周辺で下降気流が強まり、高気圧に覆われやすくなったのが要因とみられています。気象台の予測によると、東シナ海南部で9月前半まで、沖縄の南の海域で9月中旬まで、それぞれ30度を超える見込みで、平年よりかなり高い水温を維持する可能性が高いと予測されています。
高水温に伴い、先島諸島海域の各地で珊瑚の白化現象が問題視されています。沖縄本島、近海の離島も同様にさまざまな地域で珊瑚の白化が目撃されています。浅場の水温は特に高く、珊瑚が白や青、ピンク色などにどんどん変色しています。ここまで珊瑚の色が変色しているのを見るのは、水中ガイドの仕事をしてから初めての体験です。
珊瑚の白化が長期化するとプランクトンや藻などの汚れが付着して珊瑚は完全に死んでいきます。写真は沖縄本島の北部、本部町の珊瑚礁です。この珊瑚は8月中旬ごろから白化がはじまり、最初はきれいでしたが現在は汚れが付着して死滅がはじまっています。
ワールドダイビングでガイドしている地域では8月に入って珊瑚の白化が加速しました。このまま海水温が高い状態だと、9月中旬には現在、白化している珊瑚の多くは死んでしまう可能性が高いです。珊瑚の白化を防ぐ唯一の方法は台風です。台風の通過により、海面の温かい水と、深い場所にある冷たい水がかき混ざることによって水温が下がります。
沖縄の夏の暑さは10月ごろまで続きます。秋のはじまる11月ごろから本格的に水温が下がります。水温が低下すると、珊瑚は回復期に入り、死んでいなければ再生します。珊瑚の白化現象の被害の全容が分かるのは11月ごろになりそうです。このまま地球の温暖化や異常気象が続くと珊瑚礁の群生はいつか見れなくなるのかもしれません。