新型コロナウイルス感染の拡大が続き、感染対策のための使い捨てマスク、シールド、手袋などの個人防護具(PPE)のごみが世界各地で急増し、深刻な環境問題になっています。
香港を拠点とする海洋保護団体、オーシャンズアジアの試算によると2020年に海に流れ込んだ使い捨てマスクは15億6000万枚というデータがあります。世界で製造されるマスクの約3%にあたる量が海に流れ出たことになります。(日本経済新聞)
新型コロナウイルスの感染対策で効果が高いとされている不織布マスクの原材料はプラスチックの一種で主にポリプロピレンやポリエチレンといった石油原料の化学繊維が使われています。感染対策のためのシールドや手袋にも多くの化学繊維が使われています。それらはマイクロプラスチックとして分解されずに半永久的に海に残ります。
マイクロプラスチックとは5mm以下の小さな破片状になったプラスチックのことで、プラスチックが自然環境に流出すると、紫外線によって脆くなり、波や風の作用によって破砕され、細かくなり、マイクロプラスチックとなります。
マイクロプラスチックは海の生物が食べ物と間違って食べてしまい、消化できずに膨満感からいつの間にか飢餓状態に陥ってしまうことがあります。ウミガメなどでも原因不明で死んでしまい、お腹を切るとビニールやプラスチックなどがたくさん消化できずに残っていることがあります。
先日、BBC NEWS JAPANで、フィリピンのダイビングスポットによって使い捨てマスク、シールド、手袋などの個人防護具(PPE)が溢れている様子が取り上げられています。
アジア開発銀行の推計によると、マニラでは新型コロナウイルスのパンデミック以降、通常よりも医療ごみが1日当たり280トン増えているというデータが出ています。環境保護団体は、使い捨てマスクに使われているプラスチックが壊れ、海洋生物がそれを食べてしまっていると指摘しています。フィリピン政府に対し、医療ごみ対策を改善し、海洋汚染を防ぐよう呼びかけています。
BBCのフィリピン特派員が、現地のアニラオ・スキューバダイブセンターのダイバーの調査に同行した様子が動画で日本語訳付きでとてもわかりやすくアップされています。
沖縄のダイビングスポットでも海外ほどではないですが、どんどん使い捨てマスクのゴミが海に落ちているのを見かけるようになってきました。私個人は感染対策で効果が高いとされている不織布マスクを使用しています。しかし、今回の事で環境問題を考えると他のマスクに変えようと思います。
日本国内でも多くの企業がプラスチック製ストローの使用を取りやめたり、スーパー等で使われていたレジ袋が有料化するなど、マイクロプラスチック問題に取組んでいます。
マスコミや政府は不織布マスクを推奨しているように感じますが、マイクロプラスチック問題を考えると使い捨てマスク、シールド、手袋なども環境に影響が少ない素材へ考えていく必要があると思います。